病害虫の症状

植物を育てていてよく見てみると、何かおかしいと気づくことがありますが、ただ、それがどんな症状かは、わからないものです。病害虫は、いきなり発生するわけではないのです。発生するには原因があるから出てくるのです。どの部分にどんな症状が出るのか知っておきましょう。

全体がしおれ、枯れる

白絹病:イチゴ・ナス・ラッカセイ・エダマメ・ネギ・クンシラン・クレマチスの株元付近に白い絹糸のようなカビが生えて、地際部分は水がしみたようになって腐ります。

つる割病:ゴーヤ・ウリ科などに発生します。昼間は、水切れを起こしたようにしおれ、夕方には回復することを繰り返し、やがて下葉から黄色くなってきて枯れます。

ネコブセンチュウ:ゴボウ・オクラ・ピーマン・ニンジン・トマトなどに発生します。体長1mm以下で根に寄生してコブを作り、生育を阻害します。収穫できなくなる野菜もあります。

根腐病:レタス・イチゴ・トマト・ラッカセイ・セロリ等に発生します。葉が黄色くなってきて、しおれたり落葉します。ひどくなるとやがて枯れていきます。

キクスイカミキリ:リンゴ・オリーブ・イチジク・サクラ・バラ・キクなどに発生します。カミキリムシの成虫が茎に傷をつけて産卵するため、傷がついた茎の上に水があがらずしおれてきます。

青枯病:キュウリ・イチゴ・ジャガイモ・大根・ピーマン・トマト・ナス・マリーゴールド・ダリアなどに発生します。植物が突然しおれて枯れていきます。進行が早いので茎葉が緑のまましおれていきます。

葉・茎が腐って枯れる

疫病:トマト・キュウリ・ジャガイモ・ナス・ミカン・バラ・シャクヤクなどに発生します。葉に水がしみたような斑点ができて、やがて暗褐色の病斑になって腐り、白いカビが生えてきます。

地際の部分が腐る

菌核病:キュウリ・ナス・スイセン・ツバキ・グラジオラスなどに発生します。水がしみてきたように軟化して、病斑部が褐色になり、白いカビが生えてきます。

灰色かび病:イチゴ・パンジー・ツツジ・バラ・シャクナゲなどに発生します。水がにじんだようなシミが出てきて、病状が進むと灰色のカビが生えて腐ります。

軟腐病:レタス・トマト・大根・ハクサイ・ユリ・シクラメン・チューリップなどに発生します。地際の部分が腐敗し、溶けたようになって枯れていき、やがて悪臭を放ちます。

幼苗が倒れる

ネキリムシ:キャベツ・エンドウ・キュウリ・キク・ダリア・チューリップ・バラなどに発生します。ネキリムシが夜になると出て地際の茎を噛み切り苗を倒します。

苗立枯病:スイカ・メロン・キャベツ・ナス・ネギ・トマト・ほうれん草・ダリアなどに発生します。本葉2~3枚の生育の時に、地際の部分に発病して数日で枯れていきます。

白くなっていく

カイガラムシ類:モモ・カキ・アイビー・イチジク・ウメ・バラ・クチナシ・アジサイなどに発生します。幼虫は、植物の上を移動して、しばらくすると脚が退化して幹や枝に固着して生活します。貝殻をかぶったような姿をしている虫もいれば、殻をかぶらないものもいます。

うどんこ病:イチゴ・トマト・かぼちゃ・キュウリ・エンドウ・バラ・アジサイ・コスモス・キク・ダリアなどに発生します。若葉に白い小麦粉をかけたように白いカビが生えていきます。被害が進むと全体がカビに覆われ、葉が変形していきます。

灰星病:モモ・リンゴ・プルーン・サクランボ・アンズ・ウメなどに発生します。水じみのような褐色の病斑が大きくなっていき、やがて果実全体が腐敗してカビが生えてきます。放置しておくと枝枯れもしてきます。

虫がつく

カメムシ:ピーマン・ナス・ホオズキ・エダマメ・カキ・ウメ・モモなどに発生します。成虫は、果実の汁を吸います。触るとくさい臭いを出すので、とても嫌な昆虫です。

コウモリガの幼虫:キリ・クヌギ・ムギ・トウモロコシなどに発生します。幼虫が穴を開けてトンネル状に進みながら食い荒らすので、生育が悪くなり枯れていきます。

アブラムシ:イチゴ・キュウリ・へメロカリス・チューリップ・バラ・キク・ウメ・ムクゲなどに発生します。春に多く発生し、吸汁性害虫なので加害されると新葉が巻いてしまいます。黒・赤・黄色などの色々な種類のアブラムシがいます。

コスカシバ:ウメ・モモ・サクラなどに発生します。成虫の見た目は、ハチに似た蛾です。成虫は昼間活発に飛び回り、樹皮の荒れたところを好んで産卵します。幼虫は、樹皮のすぐ下の部分を加害し、被害部から糞やヤニがでてきます。

カミキリムシ:クリ・カエデ・リンゴ・オリーブ・イチジク・シラカバ・サクラなどに発生します。幼虫は、昔からテッポウムシと呼ばれ、幹の中をトンネルを掘るように食害していきます。被害が多いと枯れていきます。

アオバハゴロモ:ザクロ・サンショウ・カキ・ウメ・ツバキ・アジサイ・クチナシなどに発生します。幼虫と成虫は汁を吸う吸汁性害虫です。幼虫は、白い綿状のものを分泌します。

アワフキムシ:ブルーベリー・キク・バラ・アジサイ・ヤマブキなどに発生します。体長1cmくらいの幼虫が、泡を分泌し隠れながら植物を吸汁します。

イラガの繭:クリ・ナシ・ビワ・リンゴ・サクラ・ウメ・ツバキなどに発生します。幼虫は成長すると分散して、多発すると木全体の葉が無くなります。毒棘に触れると激痛におそわれます。

ミノムシ:ウメ・カキ・ブルーベリー・サクラ・ツツジ・カエデなどに発生します。葉や枯れ枝でつくった蓑をかぶり、枝にぶらさがっております。

アゲハチョウ:ミカン・キンカン・ニンジン・セロリ・パセリなどに発生します。幼虫は葉脈を残して葉を食べます。気がつくのが遅いと全部食べられてしまいます。

オオスカシバ:クチナシの木によく発生します。蛾の一種なのですが、翅が透明で素早く飛び回り花の蜜を吸います。幼虫は、葉をたくさん食べるので木を丸坊主にするほどです。

アオムシ:ハクサイ・キャベツ・ダイコン・チンゲンサイなどに発生します。モンシロチョウの幼虫で葉を食害するので葉にいくつも穴が開き、葉脈だけを残して食べていき、やがて丸坊主にします。

ヨトウムシ:レタス・ネギ・トマト・ハクサイ・ブロッコリー・キク・バラなどに発生します。イモムシ状の蛾の幼虫が野菜や草花を食害していきます。かなりたくさんいるので葉裏から表皮を残して食害していきます。

ハムシ:カボチャ・キュウリ・コマツナ・キャベツ・カブ・キクなどに発生します。成虫は光沢があり綺麗ですが、葉を食害していきます。幼虫は根を食べるものもいます。

コガネムシ:ブドウ・カキ・ナシ・サツマイモ・ダリア・ツバキ・アジサイなどに発生します。成虫は光沢があり葉脈だけ残して食害していきます。幼虫は根を食べるものもいて株が枯れることがあります。

ベニフキノメイガ:ハクサイ・キャベツ・トウモロコシ・ダイコン・モモ・シソなどに発生します。幼虫は、葉を巻いて綴り、中にいて食害していきます。

チャドクガ:ウメ・ナシ・リンゴ・カキ・サクラ・ツバキ・フジなどに発生します。幼虫が小さいころは1枚の葉に群生して食害しますが、成長すると分散して葉脈だけを残して丸坊主にします。

ハバチ:ダイコン・カブ・ツツジ・バラなどに発生します。幼虫は小さなイモムシ状の集団です。葉の縁から集団で食害していき、成長すると分散して食害していきます。

オンシツコナジラミ:キュウリ・カボチャ・メロン・クチナシ・ハイビスカスなどに発生します。植物を揺すると白い成虫がたくさん飛び立ちます。成虫も幼虫も葉裏にいて吸汁します。短期間で大量に発生してすす病を誘発します。

テントウムシ:インゲン・トマト・ピーマン・ジャガイモ・トウガラシ・エンドウなどに発生します。成虫も幼虫も葉裏から葉脈を残して網目状に食害していきます。

シャクトリムシ:イチジク・アスパラガス・キク・ウメ・サクラなどに発生します。幼虫は集団で見かけることは少ないですが、成長した幼虫は食害する量が多いので、あっという間に葉をすべて食べつくされます。

オンブバッタ:シソ・キクなどに発生します。大きくなるにつれて食害量が増えていき、多発すると丸坊主にしていきます。

ハマキムシ:カキ・オクラ・シャクナゲ・ツバキ・タチアオイなどに発生します。幼虫は糸を張って綴り、葉を丸めて巣を作り食害していきます。成長すると食べる量も増えていきます。

ハダニ:キュウリ・エダマメ・サツキ・キンモクセイ・バラ・マリーゴールドなどに発生します。体長0.3mmくらいのクモの仲間で、群生しており吸汁性害虫となっております。葉裏にいて吸汁し、葉に白い斑点がつきます。多発すると白くなっていき枯れてきます。

グンバイムシ:ヒマワリ・キク・ウメ・ツツジに発生します。成虫は葉の中に卵を産みます。葉裏から吸汁し、葉裏が排泄物で黒く汚れてきます。被害にあっている葉は白い小斑がつきます。

ミカンハモグリガ:カキ・ナシ・ネギ・タマネギ・モモ・リンゴ・サクラなどに発生します。葉肉の中だけで生活する害虫です。幼虫が食害した痕が、くねくねした白い筋になって現れます。

ハモグリバエ:シュンギク・セロリ・エンドウ・サザンカ・ツバキなどに発生します。幼虫が食害した痕が、葉に線を描いたように現れます。葉を日にかざすと幼虫が中にいるのがわかります。

チャコウラナメクジ:イチゴ・ダイコン・ハクサイ・カトレア・パンジー・コスモスなどに発生します。昼間は落ち葉・石の下に隠れ夜になると活動して、葉や花弁、果実をなめるようにかじって食害していきます。

ゾウムシ:ビワ・ニンジン・ダイコン・ウメ・モモ・キク・バラ・ツツジなどに発生します。若葉や茎・蕾を食害して傷をつけながら産卵します。花柄が黒くしおれて首が垂れてきます。

オオタバコガ:トマト・ナス・キュウリ・ピーマン・オクラ・イチゴ・キャベツ・レタス・ブロッコリー・トウモロコシなどに発生します。蛾の幼虫のイモムシが果実や蕾、茎にもぐりこんで食害します。これに食害されると開花できず、果実は食用にならなくなってきます。枝や茎が加害されるとやがて枯れてきます。

チャノホコリダニ:ダイズ・イチゴ・キュウリ・トマト・ナス・モモ・ナシ・イチジク・シクラメンなどに発生します。体長0.2㎜くらいの小さい虫で肉眼で確認するのが困難な虫です。群生して吸汁するので気づくのが遅れると被害が広がります。被害にあうと、花弁が変形したり、蕾が開かなかったりします。

コブができる

コブ病:サクラ・フジ・ビワ・レンギョウなどに発生します。樹木の枝や幹にいろいろな大きさのコブができる病気です。傷口から細菌が侵入するので、コブは年々大きくなっていきます。

縮れる、膨れる

縮葉病:ウメ・ナシ・シラカバ・モモ・アンズなどに発生します。若葉の頃に葉が不規則に変形して奇形になり、膨れた部分は肉厚になります。葉の色が紅色・黄緑色になり、やがて白いカビで覆われてきます。

もち病:サザンカ・ツバキ・サツキ・ツツジ・シャクナゲなどに発生します。若葉が、もちを焼いたように肉厚になり膨れてきます。葉は、黄緑色になったり赤色になったりして、やがて白いカビに覆われて干からび落葉します。

斑点ができてくる

ゴマ色斑点病:ピーマン・ブルーベリー・セロリ・アジサイ・バラなどに発生します。下の葉に斑点が出てきて、やがて上の葉に広がり葉が枯れて株が弱ってきます。

べと病:ネギ・カブ・ハクサイ・ホウレンソウ・キュウリ・ブドウ・カボチャなどに発生します。葉に黄色い不規則な形の病斑ができてきて、やがて葉裏に灰色のカビが発生してきます。

炭そ病:キュウリ・カキ・パンジーなどに発生します。葉に円形の黒い病斑がでてきて、しばらくすると病斑の部分が白色になって穴が開き枯れていきます。

灰色カビ病:イチゴ・パンジー・シャクナゲ・ツツジ・バラなどに発生します。水がにじんだようなシミが現われ、やがて灰色のカビに覆われて枯れてきます。

かいよう病:ウメ・トマト・チューリップ・キウイなどに発生します。雨が多い時期に発生しやすいですが、葉・枝、果実にコルクのような斑点ができてきます。

黒星病:ブルーベリー・バラ・ウメ・リンゴ・ナシなどに発生します。果実に丸くて黒い斑点ができてきます。

模様がでてくる

モザイク病:トマト・キュウリ・ホウレンソウ・シソ・ズッキーニ・チューリップ・パンジー・アジサイなどに発生します。アブラムシによって媒介され、葉にモザイク模様や筋模様が現われ枯れてきます。

すす病:ミカン・ウメ・サルスベリ・ツバキなどに発生します。葉や幹に黒いカビが生える病気です。このカビはアブラムシ・カイガラムシの排泄物を栄養にして繁殖していきます。

腐ってくる

軟腐病:ダイコン・ハクサイ・レタス・トマト・ユリ・チューリップ・シクラメンなどに発生します。地際の部分が腐敗して、とけたように枯れ、腐敗した部分が悪臭になってきます。鼻をつく特有な嫌な臭いです。

アザミウマ類:ナス・トマト・ネギ・キュウリ・ツバキ・アジサイなどに発生します。スリップスと呼ばれている体長2mmくらいの細長い虫です。幼虫も成虫も傷をつけて吸汁するため、吸汁された痕が白いかすり状になって色が抜けてきます。